産業廃棄物を収集運搬する容器の選び方とは

産業廃棄物を収集運搬する容器の選び方

産業廃棄物を運搬収集する際、廃棄物処理法施行令で定められている基準を満たす容器を選択する必要があります。場合によっては、運搬効率が低下したり重い罰則が科されたりする恐れがあるため、すでに事業を開始している業者も定期的に確認するとよいでしょう。この記事では、広く使用されている運搬容器や容器ごとに適した産業廃棄物を紹介するため、事業をおく地方自治体の指定をふまえたうえで参考にしてください。

目次

産業廃棄物の運搬容器の選び方

産業廃棄物を運搬するにあたり、「産業廃棄物が飛散・流失したり悪臭が生じたりしない措置をとること」が法律によって定められています。たとえば、廃プラスチック類や繊維くずなどは運搬容器を用いる必要はありませんが、廃油をはじめとする液体や悪臭を発する恐れのある動物の死骸などの産業廃棄物には適切な容器が必要です。

法律を遵守した運搬容器を選ぶ際は、取り扱う産業廃棄物の形状や性質に適した運搬容器を選択するようにしましょう。

産廃廃棄物の収集運搬容器の主な種類と具体例

産業廃棄物を運搬収集する際は、積み込みや積み下ろし時にも飛散・流失しない容器を用いる必要があります。場合によっては、耐食性に優れた容器を選択したりフタ付きの容器を選択したりしなければなりません。以下は、広く使用されている運搬容器と使用に適した産業廃棄物です。

ドラム缶

安価で購入できるドラム缶は、個体から液体まで幅広く使用できます。注意すべきは、内容物を目視で確認することが難しい点です。廃棄物の変化に気が付きにくいため、長期保管する際はとくに配慮しなければなりません。また、ドラム缶には複数の種類があるので適切なタイプのドラム缶を選択する必要があります。

オープンドラム

オープンドラムとは、取り外し可能な天板がついている金属製のドラム缶です。蓋付きドラムとも呼ばれており、バンドと呼ばれる金具によって密封します。粘度の高い液体や粉体をはじめとする、以下の産業廃棄物に適した容器です。

・液体:廃油・汚泥
・粉体:燃え殻・ばいじん
・個体:廃プラ類・くず類・動植物性残さ・動物の糞尿や死骸・がれき類・ガラ陶・鉱さい

クローズドラム

クローズドラムとは、天板が固定されている金属製のドラム缶であり、充填口から廃棄物を注ぎ入れて使用します。注ぎ口が小さいため、粘度の低い廃油などに適した容器です。

プラスチックドラム

プラスチックドラムは、金属製ドラムでは使用できない腐食性のある廃棄物の保管・運搬に適した容器です。ケミカルドラムとも呼ばれており、内部がプラスチック素材になっていたり耐腐食加工が施されたりしています。オープンドラムやクローズドラムのように2つの種類があるため、取り扱う産業廃棄物によって使い分けましょう。基本的には、オープンドラムとクローズドラムと同じ産業廃棄物での使用が可能ですが、廃酸・廃アルカリの容器として使用する業者が多いです。

ペール缶

ペール缶は、金属製ドラム缶と同様の特徴をもった運搬容器を指します。一般的なドラム缶の容量が200リットルに対し、ペール缶の容量は18リットルから20リットル程度と少量です。ベール缶は以下のような用途で使用されます。

・取り扱う産業廃棄物が少量

・水銀電池や体温計をはじめとする水銀使用製品産業廃棄物

フレキシブルコンテナバッグ

フレキシブルコンテナバッグは、フレコンバックやフレキシブルコンテナとも呼ばれている袋状の容器です。布などの柔軟性の高い素材が使用されており、使い捨てに適した手軽な価格帯であると同時に耐久性が低い特徴をもっています。また、排出口があったり粉塵漏れなどを防止するコーティング加工がされていたりする容器もあるため使い勝手が良いです。サイズも豊富であるので、以下の産業廃棄物での使用に適しています。

・粉類:燃え殻・ばいじん・石綿含有産業廃棄物
・個体:廃プラ類・くず類・がれき類・ガラ陶・鉱さい

コンテナ

コンテナは、直積みでは飛散する恐れのある腐敗や腐食しない固体である産業廃棄物で使用される容器です。コンテナ運搬車両が必要な大きなサイズから、比較的小さい鉄製やプラスチック製の容器があります。一時的に保管するにも適しており、以下の幅広い産業廃棄物の運搬容器として使用可能です。

・液体:汚泥
・粉類:燃え殻・ばいじん
・個体:廃プラ類・くず類・動植物性残さ・動物の糞尿や死骸・がれき類・ガラ陶

石油缶やプラスチック容器

石油缶やプラスチック容器は、主に液体の産業廃棄物の運搬容器として使用します。取り扱う産業廃棄物が少量である場合や、以下に該当する産業廃棄物を運搬する場合に使用するとよいです。

・石油缶:廃油
・プラスチック容器:腐食性のある液体(廃酸・廃アルカリ)

容器が限定されている産業廃棄物

産業廃棄物のなかには、運搬したり保存したりする容器が限定されているものがあります。もし不適切な容器を使用してしまった場合、重い罰則が科される恐れがあるため注意が必要です。

廃酸・廃アルカリ

廃酸・廃アルカリなどの腐食性のある廃棄物を保管・運搬する際は、プラスチックドラム(ケミカルドラム)もしくはプラスチック容器を使用しなければなりません。また、鉄に反応したり錆びやすかったりする廃棄物の場合は、ステンレスドラムの使用も適しています。一般的なドラム缶よりも費用がかかりますが、半永久的な再利用が可能です。

感染症廃棄物

血液の付着したガーゼや注射器などの感染症廃棄物を運搬収集する際、一般の産業廃棄物と区別できる特定の容器を用いる必要があります。容器は、以下のポイントをクリアしたものでなければなりません。

・感染防止のために密閉できる容器
・感染症廃棄物が入っていることが一目で分かる表示がされている

また、感染症廃棄物は、感染防止の観点から容器ごと処理しなければなりません。従って、再利用不可の使い捨て容器を使用する必要があります。

石綿含有産業廃棄物・廃石綿等

石綿含有産業廃棄物や廃石綿等は、耐水性プラスチック袋(アスベスト回収袋)を用いて廃棄することも可能です。廃棄物が飛散・流失しないように、色付きの内袋と透明の外袋の二重構造になっています。

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